おせちに煮物が必要な理由とは?地域によって異なる作り方も紹介

2019/04/25

色とりどりの焼き物、酢の物、煮物などが美しく詰め合わせられたおせちのお重。食卓に華やかな料理がずらりと並ぶ光景は、お正月ならではですね。

お重の一番下、三段重の三の重には、煮物を詰めるのが一般的です。おせち料理の煮物の意味や、地域によって異なる作り方などについてまとめました。

おせち料理に煮物がある意味と由来

おせち

歳神様をお迎えするお正月に、新しい年への願いをこめて、縁起のよい料理をあつらえたおせち料理。

煮物は、縁起のよい食材を一つの鍋で煮て作ることから、「家庭円満」「家族が仲良く結ばれますように」という祈りがこめられています。

煮物の具材それぞれの意味

おせち料理の煮物に使われる食材は、縁起をかついだものばかり。どんな意味がこめられているのか、ひとつひとつ見てみましょう。

食卓を華やかにしてくれるれんこん

レンコン

複数の穴が空いているれんこんは、「先の見通しがきく」ように、という願いがこめられています。また、種が多いことから「多産」の象徴でもあります。

外側の穴に沿って飾り切りした「花れんこん」は、蓮の花を散らしたように食卓を華やかに彩ります。

子孫繁栄を願う里芋

里いも

親芋に子芋、孫芋と、たくさんついていくことから、子宝の象徴とされ、「子孫繁栄」を願って食されるようになりました。亀の長寿にあやかって、亀甲型(六角形)に切った里芋の煮物も縁起がよいとされています。

延命長寿を願うごぼう

ごぼう

地中に細く長くしっかりと根をはることから、「延命長寿」の象徴として用いられるごぼう。「家や家業がしっかり根付き、末永く繁栄するように」との願いもこめられています。

成長祈願を願うたけのこ

たけのこ

成長が早く、天に向かって勢いよくまっすぐに伸びるたけのこは、生命力の象徴と考えられ、子どもの「成長祈願」「出世祈願」を願う縁起物です。

良縁成就を願うこんにゃく

こんにゃく

おせちのこんにゃくは、真ん中に切れ目を入れてくるくるとねじった手綱こんにゃく。こんにゃくを手綱に見立て、手綱を締めるように己の心を引き締める、という意味をもたせています。また、結び目のような形から、縁を結ぶ「良縁成就」の意味もあります。

運が付きやすいにんじん

ニンジン

れんこんやにんじんなど、「ん」がつく食材は、「運」がつくので縁起がいいと考えられていました。また、梅の形の飾り切りは、彩りをそえるだけではなく、寒い冬に気高く美しい花を咲かせる梅の生命力にあやかっているとされています。

煮物の作り方

煮物

いり鷄とも呼ばれ、鶏肉といっしょに炒めて煮る筑前煮の作り方をご紹介します。花れんこんや梅にんじんの飾り切りが、お正月の食卓を華やぎをそえる一品です。

ポイントは根菜類を下ゆですること。このひと手間で、炒め煮にしたときの根菜の歯ざわりのよさが生きてきます。

フライパンで手軽に作れるので、毎日のおかずとしても大活躍です。

  • ■材料(4人分)
  • ■鶏もも肉…1枚
  • ■にんじん…1本
  • ■ゆでたけのこ…1本
  • ■干ししいたけ…4枚
  • ■こんにゃく…1枚
  • ■れんこん…1節
  • ■ごぼう…1/2本
  • ■きぬさや…12枚
  • ■☆煮汁 だし汁…150cc
  • ■みりん…大さじ3
  • ■しょうゆ…大さじ3
  • ■酒…大さじ2
  • ■ごま油…大さじ2

おせちの煮物を作るタイミングと日持ちさせる方法

煮物

おせちの煮物には、里芋、れんこん、にんじん、ごぼうなどの根菜類が多く使われています。根菜は泥つきのものを購入し、新聞紙につつんで涼しい場所に置いておけば日持ちするので、早めの購入も可能です。

しっかりと味を煮含めて作った煮物は、保存容器に入れて冷蔵庫で3〜5日保存がききます。31日は最後の買い出しなどで何かと慌ただしいもの。30日に作っておいて、冷蔵庫で味をなじませるのもよいでしょう。

ただでさえ品数の多いおせち料理。元日にいちばんおいしい状態でいただけるよう、スケジュールを組んでおくとよいですね。

おせちの煮物には地域によって特色がある

煮物は、その地方の海山の幸が使われることで、郷土の味が強く出る料理です。それぞれの地方では、お正月にどのような煮物を食べているのでしょうか。その一部をご紹介します。

北海道や東北地方の場合

北海道では、お正月の煮物は「うま煮」と呼ばれます。各家庭で受け継がれている味が異なりますが、汁気がなくなるまで煮つめた甘辛い味つけが特徴のようです。

昆布やなるとを入れる家庭もあります。

東北地方の煮物には、根菜のほかに、蕗やワラビ、ゼンマイなどの山菜が入っているのが特徴です。焼き豆腐や凍み豆腐(高野豆腐)を加える家庭も多いようです。

関西や九州地方の場合

関西の煮物は、しょうゆと砂糖でしっかり味つけする関東風と異なり、だしをきかせたあっさり風味。薄口しょうゆとみりんで調味するので、素材の色そのままに、きれいに仕上がるのが特徴です。

九州地方で代表的なのは、福岡県筑前地方の郷土料理である「筑前煮」。今では全国に知られ、お正月料理としても広まりました。鶏肉といっしょに野菜を炒め、炒り煮でこっくりと仕上げます。

同じ福岡の郷土料理である「がめ煮」は、作り方は筑前煮とほぼ同じですが、骨つき肉を使うのが特徴です。

おせちの煮物で「家庭の味」を味わおう

地方の特産物と縁起のよいいわれを絡めたおせちは、日本料理ならではの味の詰め合わせ。中でも煮物は家庭の味が出やすい料理です。

お正月には、時間をかけて煮含めた煮物をつつきながら、郷土の味、受け継がれてきた「家庭の味」をゆっくり楽しんでみてください。